メガネの話
メガネが似合う人間になりたい。
僕は眼鏡をすると、とても幼くなる。賢者の石のハリーくらい。
ハリーは良い。かわいいから。
でも僕が幼くなるとどうなるか。ワクワクさんみたいになる(ワクワクさんに失礼)。
もっとこうなんか、雑誌に載っているモデルさんのように渋くなりたい。味を出したい。
そう、味を出したいのだ。
服装はシンプルだけど、眼鏡をかけることで一気にファッション上級者に名乗り出たいのだ。
なのに上手くいかない。
ひげを生やせばメガネが似合うだろうかと考えたが、そもそも僕はひげが似合わないことを思い出す。
メガネの形が合わないのかと思って3種類くらい試したが、せいぜいアラレちゃんだ(アラレちゃんに失礼)。
なぜなのだろうか。
広辞苑で眼鏡を調べる。
め-がね【眼鏡】
①視力を調整し、または光線が強く入るのを防ぐため目にかける器具。
②物を見て、その善悪・可否を考え定めること。
なるほど、分かった気がする。
僕にはまだ早すぎたのだ。
物を見る目がまだ十分に養われていない。
メガネをつけるには人生経験が足りなさ過ぎたのだ。
色んな経験をして、喜びや苦労を体に蓄積して。
やっとメガネが似合うのかもしれない。
少なくとも僕の場合は。
何だ、じゃあ今は焦る必要はない。
これからの僕が何とかしてくれる。
メガネが似合う人間になってくれるだろう。
腑に落ちた途端に、今後の人生が楽しみになってきた。
ワクワクさんはメガネがとても似合っている。